長々と寄り道をしてしましまいましたが、私は心療内科と精神科の意図的な混同が、非告知投与――古き悪き時代の精神医学の弊害――の新しい形だと捉えています。
精神病だと言う代わりに自律神経失調症だと言い、精神科と呼ぶ代わりに心療内科と呼ぶ。
偏見のために生まれた必要悪と言ってしまえばそれまでですが、いずれの場合も患者さんは自分がどのような病気で、どのような治療が必要かを理解することができません。
理解する必要もありません。
こうした言葉遊びによる不適切な説明と同意、不適切な治療は、実は常に医者の側だけに一方的な責任があるものとは言えません。
むしろこの文脈における医師と患者は、一種の共犯関係にある場合があります。
自分が精神疾患であるかもしれない(もしくは、自分の家族が精神疾患であるかもしれない)と考える人が、「あなたは精神疾患ではない」、「あなたのご家族は精神科の患者ではない」と言ってくれる医者を能動的に選ぶ傾向が確かにあるのです。