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精神科の患者さんの車の運転 ⑦

ある薬を処方するときに,その薬の添付文書に書いてある注意のすべてを医者が患者さんに伝えなければならないわけではありませんが(多分),添付文書に注意喚起がなされているにも関わらず医師がそれを患者さんに伝えず,そのことと関連する事故が起きた場合,責任は医師に帰することとなります。

車の運転の場合,向精神薬の添付文書には「本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること」と書いてあるので,医師は患者さんにそう告げなければなりません。

告げずに,患者さんが車を運転し,事故を起こした場合,医師の責任が問われることになります。

告げたにも関わらず患者さんが車の運転をして事故を起こした場合は患者さんの自己責任です。

交通事故といっても色々なケースがありますし,患者さんの病名や状態も様々ですから,そこまで通り一遍に責任の分担が決まるわけではありませんが,単純化するとそういう構造があります。

結局のところ,添付文書の注意は,責任を下請けに出して,最終的には患者さんに押し付けるシステムなのだと言えるのかもしれません(少々乱暴な言い方ですが)。

添付文書に記載が無い副作用が起こると製薬会社,時には認可者である厚生労働省の責任問題になりうるので,彼らの態度は必然防衛的になりがちです。
同効薬の添付文書に記載されている注意は,新薬の添付文書でも踏襲されるという前例主義に陥りがちなのはそのせいであると思われます。

しかしこれは時に明らかに,製薬会社の販売戦略との間に矛盾を引き起こします。


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2007年03月18日 09:57に投稿されたエントリーのページです。

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