これまたタイムリーなことに,「臨床精神薬理」の2月号(第10巻第2号)に線維筋痛症のレビュー(総論)論文が掲載されていました。
「臨床精神薬理」誌は,精神医学の専門雑誌のひとつで,その名の通り,臨床における向精神薬の用いられ方――精神科薬物療法に関する論文を主に掲載しています。
この雑誌が本年の2月号で「痛みに対する精神科薬物療法」という特集を組んでおり,その中で線維筋痛症もとりあげられているのです。
身体的な感覚の筆頭であるように思われる「痛み」が,整形外科や神経内科ではなく精神医学の雑誌で特集されるのを奇異に感じられる方もいるかもしれません。
しかし,実際のところ,精神科で疼痛を取り扱う機会は少なくないのです。
理由としては,①精神科疾患,特にうつ病が疼痛と密接な関係があること(これには,疼痛が続く身体疾患の患者さんは抑うつ的になりやすいことと,うつ病の患者さんでは痛みの訴えが強くなりやすいこと,の両方の意味があります),②慢性疼痛に対して,一部の向精神薬が有効であること,の2つがあげられるでしょうか。
一方で疼痛のメカニズムや適切な治療法についてすべての精神科医が十分な知識を持っているわけではないので,「臨床精神薬理」のような雑誌で疼痛に対する薬物療法がとりあげられる価値は十分にあるわけです。
ちなみに,「臨床精神薬理」の2月号(第10巻第2号)では線維筋痛症の他に,疼痛性障害,うつ病と疼痛,癌性疼痛などの総論が掲載されています(抄録だけなら発行元である星和書店のウェブサイトで閲覧することができます)。
レビュー論文というのは内外の研究報告を総ざらいしてまとめたものなので,ある疾患や薬物について,勉強のとっかかりとして浅く広く学ぶには効率的です。
多少安易ではありますが,まずは「臨床精神薬理」の2月号(第10巻第2号)に載っているこのレビュー論文,「線維筋痛症の概念と治療アプローチ」を解説してみたいと思います。
>>>線維筋痛症 (3)
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