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「精神科の薬を飲むとボケる」か? (2)

何より「ボケる(≒認知症(痴呆))」というのは正しい定義としては,不可逆的な,つまり元に戻らない認知機能低下のことなので,向精神薬の服用中のみに生じ,服用をやめれば回復する認知機能低下は「ボケ」ではありません。
もちろん一般の方々の感覚では一過性に「ボーっとする」とか「物忘れが気になる」ことも「ボケる」と受け取られるかもしれませんが,そういう定義を適用するならば「抗アレルギー薬を飲んでもボケる」ということになります。

また,高齢のかたがベンゾジアゼピン系の睡眠薬や安定剤を飲んで「せん妄」を呈することがあり,状態像としては認知症と区別しがたい場合がありますが,これも基本的には可逆的,一過性のものであって,狭義の「ボケる」とは異なります。

統合失調症の治療薬――抗精神病薬の副作用としての認知機能障害は非常に強く(試しにセレネースを1mg飲んだ同僚がいるのですが,ボーっとして何も考えられなくなり,丸1日仕事にならなかったそうです),一部の薬には不可逆的な神経毒性があるとも言われています。
神経毒性が無い抗精神病薬を用いたとしても,通常,統合失調症では生涯に渡る服薬が必要なので,副作用である認知機能障害も生涯続くことになります。
これは「ボケる」にきわめて近い状態かもしれませんが,不思議と統合失調症の患者さんやそのご家族から「ボケるんじゃないか?」という質問を受けることは稀ですね。

結論としては,うつ病や不安障害の治療に限って言えば用いられる薬で「ボケる」ことはありません。
しかし薬の量や剤数が多かったり,不必要に長期間漫然投与を続けると「一過性の認知機能低下が持続する」ことはありえるので,やはり最適化された薬物療法が大切なのは言うまでもありません。

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コメント (1)

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ブログで統合失調症の息子と父親の闘病記をつづっています。
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2007年06月23日 06:37に投稿されたエントリーのページです。

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