つまり,クロザピンの有効性における優位は,長期服用した場合には代謝系の副作用によってほとんど相殺されてしまう可能性があるのです。
いくぶんクロザピンに有効性が劣り,いくぶん代謝系の副作用が少ないジプレキサ(オランザピン)でも,長期的には同じことが言える可能性が大です(オランザピンによって助かる患者さんの数も,オランザピンのために亡くなる患者さんの数も,クロザピンの場合よりもいくらか少ないであろうということです)。
……欧米人においては。
CATIE試験も,前述のFontaineらの試験も,米国における研究であるということには留意しておくべきでしょう。両研究とも,対象となったのは米国人です。
ジプレキサの有効性について,民族によって差があることを示す研究はありません。
しかし安全性――代謝系の副作用に関しては,民族によって明らかに発現リスクに違いがあります。
特に高血糖についてはエビデンスが蓄積されており,はっきり言ってしまえば,日本人は白人種に比べてオランザピンの服用によって高血糖をきたすリスクが高いのです。
これは日本人の栄養摂取状況が,歴史的に見て白人種よりも貧素なものであったことに由来すると考えられています。
農耕民族であったわれわれは狩猟民族であった白人種に比べて高栄養を摂取する機会が少なく,大量の炭水化物や脂質,蛋白質を処理できるように適応・進化する必要がなかったのです。
糖分や,体内で分解されると糖分に変わる炭水化物を摂取すると,それが血中に取り込まれて血糖値が上昇します。
するとそれを察知して,膵臓からインシュリンが分泌されます。
このインシュリンの働きで末梢の細胞が血中のブドウ糖を取り込み,エネルギーとして活用できるようになります。
コメント (1)
猫山先生、ご無沙汰しております!
「デパス等抗不安薬を飲み続けていいのか・・・」の掲示板の
ぴよぴよです。
「デパス・・・⑤」の掲示板が早くも終わり、今度は新しい名称「抗不安薬等の情報交換と日常の悲喜こもごも談話室」に
生まれ変わって、スタートしましたのでお知らせします。
(http://community.pureness.co.jp/1/read.php?id=1873&ls=50)
掲示板の皆さんの状況は様々ですが、段々と体調が良くなり、変薬・減薬などをされてる方もいらっしゃいます。
私自身も数日前から、メイラックスの上限2mgを服用していたのを減薬することになりました。
目標はひと月で0.5mgの減薬です。
更に慎重な私は、離脱症状に苦しまないように、2週間ごとに0.25mgの減薬と主治医との相談のもとで行うことになりました。
時間をかけての減薬ですが、順調に行けば、桜の咲く頃には
メイラックスを断薬できるかも知れません。
猫山先生のプログはいつも参考にさせていただいています。
更新されるのを楽しみにしています。
猫山先生も是非また、新しい掲示板の方にいらしてください。
先生のアドバイスを皆さんはいつも心強く思っています。
どうぞ宜しくお願いいたします。
投稿者: ぴよぴよ | 2007年11月12日 12:18
日時: 2007年11月12日 12:18