前回取り上げた毎日新聞(2006年9月27日)の記事の解説の続きです。
ラストセンテンスの「当面は大学病院や総合病院の精神神経科,うつ病専門の開業医にかかるのがよい」というの樋口輝彦・国立精神神経センター院長のコメントが全てを物語っています。
国立精神神経センターは高度な専門施設ですから,当然,他の医療機関で治療がうまくいかなかった患者さんが多く紹介されてきます。
それはすなわち,国立精神神経センターで働いている医師は,他の医療機関で行われている治療がいかに貧困なものであるかを身に沁みて理解しているということに他なりません。
紹介状に記されている前医の処方に,患者さんから聞くそれまでの治療内容に,唖然とすることはけっして稀ではないでしょう。
「うつは心の風邪」というキャッチフレーズのもと啓蒙がなされた結果,それまで治療に乗っかっていなかった多くの患者さんが医療機関の門を叩くようになりました。
しかしその門の向こうに,適切な治療をしてくれる医者がいる可能性は25%にしかすぎません。
風邪をひいて内科を受診して「当面は大学病院や総合病院の風邪専門の医師にかかるのがよい」と言われることがあるでしょうか。
精神科領域ではそれが現実なのです。
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Common diseaseであると言われるうつ病ですら,75%の精神科医は適切な治療を行うことができません。
いわんやうつ病よりも珍しい,もしくは治療が難しい病気においてをや,です。
そして,双極性障害(躁鬱病,躁うつ病)を含めて,ほとんどの精神疾患が,うつ病よりも珍しかったり,治療が難しかったりするのですが。
日本の現状では,患者さんやそのご家族は,まずご自分の病気に適切な診断を付け,適切な治療を施してくれる「まともな医者」をみつけるところから始めなければならないのです。
しかし,精神科領域における「良い医師」の定義は一様ではありません。
たとえば,「マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low」,「マンガ境界性人格障害&躁うつ病REMIX 日々奮闘している方々へ。マイペースで行こう!」では,たなか氏は病状が好転しているとは思われず,ご自分でもそのことに気づいている節がありますが,それでもこの主治医に信頼を寄せているようです。
実はこれは珍しいことではありません。
ラストセンテンスの「当面は大学病院や総合病院の精神神経科,うつ病専門の開業医にかかるのがよい」というの樋口輝彦・国立精神神経センター院長のコメントが全てを物語っています。
国立精神神経センターは高度な専門施設ですから,当然,他の医療機関で治療がうまくいかなかった患者さんが多く紹介されてきます。
それはすなわち,国立精神神経センターで働いている医師は,他の医療機関で行われている治療がいかに貧困なものであるかを身に沁みて理解しているということに他なりません。
紹介状に記されている前医の処方に,患者さんから聞くそれまでの治療内容に,唖然とすることはけっして稀ではないでしょう。
「うつは心の風邪」というキャッチフレーズのもと啓蒙がなされた結果,それまで治療に乗っかっていなかった多くの患者さんが医療機関の門を叩くようになりました。
しかしその門の向こうに,適切な治療をしてくれる医者がいる可能性は25%にしかすぎません。
風邪をひいて内科を受診して「当面は大学病院や総合病院の風邪専門の医師にかかるのがよい」と言われることがあるでしょうか。
精神科領域ではそれが現実なのです。
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Common diseaseであると言われるうつ病ですら,75%の精神科医は適切な治療を行うことができません。
いわんやうつ病よりも珍しい,もしくは治療が難しい病気においてをや,です。
そして,双極性障害(躁鬱病,躁うつ病)を含めて,ほとんどの精神疾患が,うつ病よりも珍しかったり,治療が難しかったりするのですが。
日本の現状では,患者さんやそのご家族は,まずご自分の病気に適切な診断を付け,適切な治療を施してくれる「まともな医者」をみつけるところから始めなければならないのです。
しかし,精神科領域における「良い医師」の定義は一様ではありません。
たとえば,「マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low」,「マンガ境界性人格障害&躁うつ病REMIX 日々奮闘している方々へ。マイペースで行こう!」では,たなか氏は病状が好転しているとは思われず,ご自分でもそのことに気づいている節がありますが,それでもこの主治医に信頼を寄せているようです。
実はこれは珍しいことではありません。
① 手術の腕は最高だけれど,人格的には最低の外科医。
② 人格者で,よく話を聞いてくれるけれど,手術は下手くそな外科医。
皆さんが手術を受けるとしたら,どちらの外科医に身体を預けたいと思われますか?
色々な考え方があるでしょうが,どちらかを選ばなければならないのであれば,私ならば①の外科医に手術を依頼します(もちろん人格も技術も優れている外科医がいれば言うことはありませんが)。
精神科医の場合,その人格と,彼(彼女)の精神科医としての技術とが,しばしば混同されることが少なくないように思われます。
よく話を聞いてくれる精神科医が良い精神科医だと思われている患者さんが少なくありません。
もちろん,診断をつけるために,もしくは患者さんが抱えている医学的な問題を解決するために必要な話は十分に聞くべきです。
他の科でも少なからずそういった傾向はありますが,精神科の場合は特に,愚痴を聞くことや,疾患とは全く関係のない相談に乗ることが「良い医者」の条件であるとみなされている傾向があるのではないでしょうか。
しかし,精神科における会話とは,他の科におけるレントゲンや採血に相当する検査であり,投薬や手術に相当する治療行為でもあります。
必要の無い検査を行う内科医や,無用に手術痕を大きくするような外科医が高く評価されるべきではありません。
精神科も同様です。
逆に言えば,精神科医の評価のハードルはきわめて低いということです。
外科医でも,よく「手術が下手な方が儲かる」とは言われますが。これは,手術が下手な方が術中・術後に合併症が起きやすいのでその治療のために検査や投薬が必要となり,入院も長引くので,わが国の現行の保険制度の下では,低侵襲で患者さんがすぐに退院できるような手術をする名医よりお金が稼げるという意味です。
精神科ならば,何かといえば「自律神経失調症」と診断し,「安定剤」だけを処方して,茶飲み話のような会話をするだけでも経営が成り立ちえます。
患者さんが良くならず,慢性化・難治化したとしても,それは固定客が増えることを意味し,その精神科医の経済的な安定に繋がるわけです。
「マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low」,「マンガ境界性人格障害&躁うつ病REMIX 日々奮闘している方々へ。マイペースで行こう!」でいえば,たなかみる氏は,以前にかかっていた医者があまりに低レベルであったために,初めて双極性障害(躁うつ病)の診断を付けてくれた現主治医を不相応に高く評価してしまった嫌いがあるのではないかと推測します。
>>>双極性障害(躁うつ病)の診断と治療 ―典型的な治療失敗例(疑)を通じて― (12)
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② 人格者で,よく話を聞いてくれるけれど,手術は下手くそな外科医。
皆さんが手術を受けるとしたら,どちらの外科医に身体を預けたいと思われますか?
色々な考え方があるでしょうが,どちらかを選ばなければならないのであれば,私ならば①の外科医に手術を依頼します(もちろん人格も技術も優れている外科医がいれば言うことはありませんが)。
精神科医の場合,その人格と,彼(彼女)の精神科医としての技術とが,しばしば混同されることが少なくないように思われます。
よく話を聞いてくれる精神科医が良い精神科医だと思われている患者さんが少なくありません。
もちろん,診断をつけるために,もしくは患者さんが抱えている医学的な問題を解決するために必要な話は十分に聞くべきです。
他の科でも少なからずそういった傾向はありますが,精神科の場合は特に,愚痴を聞くことや,疾患とは全く関係のない相談に乗ることが「良い医者」の条件であるとみなされている傾向があるのではないでしょうか。
しかし,精神科における会話とは,他の科におけるレントゲンや採血に相当する検査であり,投薬や手術に相当する治療行為でもあります。
必要の無い検査を行う内科医や,無用に手術痕を大きくするような外科医が高く評価されるべきではありません。
精神科も同様です。
逆に言えば,精神科医の評価のハードルはきわめて低いということです。
外科医でも,よく「手術が下手な方が儲かる」とは言われますが。これは,手術が下手な方が術中・術後に合併症が起きやすいのでその治療のために検査や投薬が必要となり,入院も長引くので,わが国の現行の保険制度の下では,低侵襲で患者さんがすぐに退院できるような手術をする名医よりお金が稼げるという意味です。
精神科ならば,何かといえば「自律神経失調症」と診断し,「安定剤」だけを処方して,茶飲み話のような会話をするだけでも経営が成り立ちえます。
患者さんが良くならず,慢性化・難治化したとしても,それは固定客が増えることを意味し,その精神科医の経済的な安定に繋がるわけです。
「マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low」,「マンガ境界性人格障害&躁うつ病REMIX 日々奮闘している方々へ。マイペースで行こう!」でいえば,たなかみる氏は,以前にかかっていた医者があまりに低レベルであったために,初めて双極性障害(躁うつ病)の診断を付けてくれた現主治医を不相応に高く評価してしまった嫌いがあるのではないかと推測します。
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