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双極性障害(躁うつ病)の診断と治療 ―典型的な治療失敗例(疑)を通じて― (8)

さて,たなかみる氏が双極性障害(躁うつ病,躁鬱病)と診断されたうえで施されている治療の内容についてです。

双極性障害_躁うつ病_躁鬱病_パキシル_躁転_神戸_精神科_心療内科

結論から言うと,たなか氏は双極性障害(躁うつ病,躁鬱病)と診断されているにも関わらず,気分安定薬(ムードスタビライザー)を飲まれていません。
ここに描かれているように,その時々の状態に応じて,たなか氏みずから判断して(もちろんそれは病状があるていど安定している場合なのでしょうが),必要と思われる薬の処方を主治医に求める,というスタイルになっているようです。

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これは必ずしも批判されるべき処方のあり方とは言えません。
患者さんの病識(自分が病気であり,治療が必要だと認識すること)が十分にある場合,そして治療歴が長くなって患者さんがいくつかの薬の効き目や副作用をそれこそ「体得」している場合には,必要な薬の種類や量を,患者さんの方が的確に判断できることはたしかにあります。

しかし,たなか氏の場合はどうでしょう。

 

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主治医は,双極性障害(躁うつ病,躁鬱病)と診断をつけていながら,その治療の土台となるべき気分安定薬の投与を行っていません。後述しますが,意図的に行っていないようです。
では,どのようにして病相のコントロールを図っているのでしょうか?

実は,たなか氏の病相はコントロールされていません。


既に急速交代化(ラピッド・サイクリング)しているにもかかわらず,躁うつの波を抑えるための薬物が使用されていないのですから,当然だと言えます。

行われているのは徹底した対症療法です。
躁状態(この描写からするとかなり激しいようですが)が起これば抗精神病薬(メジャー・トランキライザー),しかも副作用が強いとされる古いタイプの抗精神病薬が投与されます。

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2008年09月02日 12:39に投稿されたエントリーのページです。

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